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次期学習指導要領案にパブコメの集中を!

2018.02.20

教育の「人材づくり」化を許すな
―抜本的見直しへ!パブコメに現場の意見を集中しよう―

 文科省は、2月14日に高等学校の改訂学習指導要領案(以下「案」)を公表しました。ねらいは、一部グローバル大企業のための「人材」づくりと、人々を「戦争する国」につなぎ止めるための道徳教育にあります。

■「育成すべき資質・能力」・教育方法・評価のあり方を国が定める
「案」では教育内容だけでなく、必要な資質能力、教育方法(「どのように学ぶか」つまり「主体的・対話的で深い学び」=アクティヴラーニング)、評価のあり方(「何が身についたか」)まで、国が設定します。その徹底のための「カリキュラムマネージメント」です。さらに、「教育課程の編成についての基本的な方針が家庭や地域とも共有されるよう努める」とし、学校教育を使い、家庭・地域も国家によって支配する意図が見えます。言うまでもなく、教育課程の編成権は各学校にあります。その大原則を踏み越えようとする姿勢は断じて許せません。

■ねらいは「戦争する国」づくり、「愛国心」教育・道徳教育の推進
「案」の総則では道徳教育に関して詳述。さらに「道徳教育に関する配慮事項」を新設し「校長の方針の下に、『道徳教育推進教師』を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開」、また「道徳教育の充実のために、家庭や地域社会との共通理解を深める」と記述しています。文字通り、学校ぐるみ、家庭・地域ぐるみで、「戦争する国」づくりへ向かわせるねらいです。「公共」(新設の必履修科目)・「倫理」・「特別活動」を「人間としてのあり方生き方に関する中核的な場面」としますが、それ以外の教科目標にも、「我が国の言語文化の担い手としての自覚」(国語)、「我が国の伝統と文化」(国語、地歴)、「我が国の固有の領土」(地歴、公民)、「我が国の国土・歴史に対する愛情」(地歴)、「我が国固有の伝統と文化」(保健体育)、「我が国の一員としての自覚」(外国語)などが繰り返し登場します。また、中学校次期指導要領と同じく、体育の武道に「銃剣道」が追加されています。

■「世界で一番企業が活躍する国」へ
外国語(主に英語)の目標は、コミュニケーション能力育成です。現行では冒頭にある「外国語を通じて言語や文化に対する理解を深め」を削除し、「外国語の背景にある文化に対する理解を深め」を末尾に加えるのみです。国語の目標は「国語で的確に理解し、効果的に表現する資質・能力の育成」とし、文学を軽視します。地歴・公民では「グローバル化する国際社会」を繰り返し、数学では「有用性」を強調しています。また、各学科に共通する教科として「理数」を新設。「課題を解決するために必要な資質・能力」の育成のためです。これらは、海外で活躍する一部グローバル企業に役立つ「人材」をつくるためであり、学ぶ喜びは無視されています。

■パブリックコメントに意見の集中を!
 文科省HPで「高等学校学習指導要領案」と検索すると、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令案及び高等学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリックコメント)の実施について」が出てきます。パブリックコメントの提出は、3月15日(木)までです。電子メール、郵送、FAX、電子政府の総合窓口のいずれでも可能です。現場の意見を集中しましょう