「生指研」自衛隊講演は見直すべき
大阪府高等学校生活指導研究会(以下「生指研」)が5月22日付けで、各校の生徒指導主事・関係教職員あてに、「平成30年度夏季研修会について」の通知文を発出しているという情報が、現場から寄せられました。通知文では、午前中の講演会の講師を、自衛隊大阪地方協力本部に依頼し、二人の講師がそれぞれ「防衛省・自衛隊の概要」(自衛隊大阪地方協力本部募集課長)、「自衛隊における隊員指導の心得」(同総括幹部)を演題に講演を行うとしています。
「生指研」は、全ての府立高校(全日制)の生徒指導主事、役員、会長(校長)等が参加して構成している「研究会」で、会合への参加は服務上「出張」となっています。また。活動方針は総会で決定し、総会には府教委も参加し、指導・助言を行います。このような「公的な」性格をもつ「生指研」の講演会講師を自衛隊に依頼することは、以下に見る通り極めて不適切であり、見直すべきであると府高教は考えます。
今回の通知が不適切であるのは以下の点からです。
第1に、自衛隊については、多くの法律学者が違憲性を指摘し、国民世論も大きく分かれています。このような自衛隊の募集課長が教職員に講演し、一方的に「宣伝」を行うことは「生指研」の場にふさわしくありません。
第2に、「命令」と「服従」を基本にした組織である自衛隊の「隊員指導の心得」は、学校での子どもを主体にした教育活動の一環としての生活指導とは相容れず、役立ちません。無条件の「規律」と「訓練」を基本とした指導方法は、管理的で「行き過ぎた指導」の是正を求める府民世論にも逆行し、子どもの成長と発達にとって、かえって有害です。
第3に、府高教には、生活指導を担当する教職員から、今回通知の研修内容の決定に関わって、研究会での手続き上の問題点を指摘する声も寄せられています。今回の研修が、民主的な手続きを経ずに決定されたとすれば、研究会の運営としても問題です。
以上のことから、今回の講演内容は「生指研」の研修会にはふさわしくなく、見直すべきです。この問題で府高教は、府教委に対し、不適切な研修を見直す指導を求めました。
安倍政権は、国民の大反対を押し切って、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など「戦争する国」づくりの施策を強行し、その「総仕上げ」として、今、憲法9条に自衛隊を書き込む憲法改悪に踏み出そうとしています。これは自衛隊を9条の制約から解き放ち、海外での武力行使に道をひらくものです。同時にそれに対して、党派や立場を超えた国民的反対運動が大きく高まっています。このようなときに、府立高校教職員が出張で参加する研修会に自衛隊を招くことは、政権の意図に沿って、教育現場を「戦争する国」づくりに巻き込むことにもつながりかねません。
府高教は、改めて「教え子を再び戦場には送らない」のスローガンを高く掲げ、全教職員、広範な府民との共同を大きく広げ、憲法に基づく平和と民主主義、教育の自由を守るとりくみに、今後も全力をあげます。
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