府教委は、2月21日の教育委員会会議で「大阪府部活動の在り方に関する方針」を公表しました。府教委は昨年9月、スポーツ庁の「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(2018年3月)を受けて「大阪府運動部活動の在り方に関する方針」を公表していましたが、この度、文化庁が「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」(2018年12月)を出したことを受けて、「運動部」「文化部」をあわせた方針として出し直したものです。
その内容は、ほぼ「大阪府運動部活動の在り方に関する方針」通りで、策定の趣旨には、「部活動における過度な活動等は、生徒の心身のバランスのとれた発達を妨げるという問題があるとともに、教員においても、部活動が長時間勤務の要因の1つになっている」と記されています。
しかし、そもそも「生徒の心身のバランスのとれた発達」という観点から部活動がどうあるべきか」ということと、現在大問題となっている教職員の「長時間勤務」をどう解決するかは全く別の問題であり、両者をひとくくりに論ずること自体が不適切です。教育的、科学的な見地からあるべき「部活動の在り方」を明らかにした上で、それを保障するために必要な人員・予算を確保することこそ行政の役割です。
もちろん、スポーツ医学や成長途上にある高校生の心身の発達という立場から推奨できない方法や非科学的な練習方法を改めることは、時間規制も含めてただちに行うべきです。また、勝利至上主義は学校部活動とは相容れないものであり、学業と部活動の両立も当然のことです。しかし、「教員の勤務時間」を理由として、すべての部活動の活動時間を一律に規制するのは、生徒の自主性・自発性をもとに行われている部活動の趣旨からふさわしくありません。運動部と文化部を同様に扱うのも乱暴です。
現在、深刻な社会問題となっている教職員の長時間・過密労働の原因は、この間のあらゆる職種におよぶ教職員定数削減、不必要な学校間競争の押しつけなどによる業務増によるものであり、その解決のためには、教職員を大幅に増員することが不可欠です。文科省・府教委が、教職員増には一切踏み込まず、「ガイドライン」「方針」を出していることは、極めて不当です。
一方で、「方針」公表の背景には、教職員の長時間労働を具体に数値で示し、職場の実態を突きつけ、粘り強く改善を求めて来た私たちの運動があり、部活動が長時間労働の一因となっていることも事実です。「方針」は、極めて不十分ですが、具体化にあたっては、長時間労働の軽減につながる方向での職場論議が求められます。
府高教は、子どもたちの自主性に基づき、その成長が保障される学校部活動を実現するために、「部活動の在り方」についての、生徒・父母・府民も参加した社会的合意づくりに全力をあげるとともに、当面、教職員の生活と健康を守る立場から、府教委「方針」を受けた各校での「活動方針」の策定・公表、「活動計画」の作成・報告など、具体化に向けた論議を、長時間労働の軽減につながる方向で行うことを、すべての教職員のみなさんに呼びかけるものです。
2019年2月21日 大阪府立高等学校教職員組合
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