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道理のない高校つぶし案は撤回し、教育条件の改善を! ―令和4年度実施対象校案に対する見解― 大阪の高校を守る会

2022.08.29

 

2022年8月29日

道理のない高校つぶし案は撤回し、教育条件の改善を!

―令和4年度実施対象校案に対する見解―

大阪の高校を守る会

 

 大阪府教育委員会は8月29日の教育委員会会議で、「府立学校条例、再編整備計画に基づく令和4年度実施対象校(案)」を示し、「様々な意見を踏まえ、11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。

 その内容は、「4年連続して入学を志願する者が定員に満たない状況が続いており、小規模化が進んでいる」「在籍生徒の主たる居住地の行政区における今後の中学校卒業者数が減少傾向にあることから志願する者の数の改善が見込めない」などを理由に、平野高校、かわち野高校、美原高校の3つの府立高校を、2024年度から募集停止し、平野高校は松原高校に、かわち野高校は枚岡樟風高校に、美原高校は大塚高校に、それぞれ「機能統合」するというものです。

 府教委が示した案は、次の点からきわめて不当です。

 第一に、そもそも、子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている公立高校の「定員」にはゆとりがあって当たり前です。府教委は、毎年「進学セーフティネット」として、公立・私立の募集数の合計が進学予定者数を上回ることを確認しており、先に入試を行う私学の一部が定員をはるかに上回る合格者を出しているもとで、「志願者が定員に満たない」公立高校が生ずるのは制度上の必然です。また、学区が撤廃され、府域全体で偏差値による競争と序列化が進められたもとでは、競争の底辺に置かれた学校の定員にゆとりが出るのも避けられません。しかし、これらの学校は、「定員にゆとりがある」からこそ、高校で学びたいと願う子どもたちの「最後の砦」となり、「地域の学校」として重要な役割を果たしています。こうした学校の募集停止・廃校は、子どもたちの「学ぶ権利」を奪い、地域社会の活力を奪う暴挙です。

 第二に、少子化の今こそ、諸外国に比べてきわめて過大・過密の詰め込みとなっている学級定員(40人)を抜本的に引き下げ、一人ひとりに行き届いた教育を保障することが強く求められていますが、募集停止・廃校案はそうした願いに背を向け、教育条件改善のチャンスを奪うものです。

 「3年連続定員に満たなければ再編整備の対象」など、何の道理もない条例を制定し、財政効率最優先で、子どもたちに過酷な競争を強い続け、公立高校つぶしをすすめる府政と、それに追随する府教委の姿勢は許せません。道理のない高校つぶし案は撤回し、少子化をチャンスに、OECD平均の20人学級に向けて少人数学級を実施し、学校の小規模化で一人ひとりに行き届いた教育を実現することこそ求められています。また、高校つぶしの元凶となっている府立学校条例は抜本的に見直すことが必要です。

 大阪の高校を守る会は、2014年以来、道理のない高校つぶしに反対し、府民署名などにとりくんできました。今年度も、新たに募集停止の対象とされた3校の存続、府立学校条例の抜本見直しなどを掲げ、9月23日に決起集会を開催するとともに、署名・宣伝などのとりくみに全力をあげます。

 

220829 大阪の高校を守る会見解