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令和5年度実施対象校案に対する見解(大阪の高校を守る会)

2023.08.28

2023年8月28日

道理のない高校つぶしをやめ、教育条件の改善を!

―令和5年度実施対象校案に対する見解―

 

大阪の高校を守る会

 大阪府教育委員会は8月28日の教育委員会会議で、「府立学校条例、再編整備計画に基づく令和5年度実施対象校(案)」「大阪市立高校移管計画における再編整備対象校の募集停止時期(案)」を示し、「様々な意見を踏まえ、11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。

 

 その内容は、①府立西野田工科高校(全・定)を募集停止し、その機能を府立今宮工科高校に統合する、②府立布施工科高校と府立城東工科高校を統廃合し、城東工科高校の校地に新校を設置する、③すでに3校を統廃合し新校を設置する方針が示されている府立生野工業高校、府立泉尾工業高校、府立東淀工業高校のうち、生野工業高校を他の2校に先行して募集停止する、などで、実施時期は2025(令和7)年度としています。

 

 府立学校条例第2条は「3年連続定員に満たない府立高校は再編整備の対象」とし、これを踏まえて府教委の再編整備計画は「今後5年で新たに9校の募集停止を行う」としています。今回の「案」はこれらを具体化するものであり、次の点からきわめて不当です。

 

 第一に、子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている公立高校の定員には「ゆとり」があって当然であり、「定員に満たない」ことを理由に廃校にするのは道理がありません。府教委自身が「就学セーフティーネット」として、毎年の入試で、進学予定者数を上回る募集を行っている(必ず「ゆとり」が出るように定員を設定している)こととも矛盾します。廃校案は子どもたちの「学ぶ権利」を奪うものです。

 

 第二に、コロナ禍を経て、改めて学級定員(40人)の引き下げが国民的世論となっているもとで、既存の学校施設を減らすのは、少子化によって生じている教育条件改善のチャンスを自ら放棄することに他なりません。募集停止・廃校ではなく、少人数学級の実現、学校の小規模化など教育条件の改善こそ行うべきです。

 

 第三に、府立学校条例の考え方は、すべての府立高校に将来にわたって入試で不合格者を出し続けるよう求めるものであり、少子化のもとでも子どもたちに過酷な受験競争を強い続けようとするものです。大阪では、通学区の撤廃、「進学指導特色校」の設置など競争を煽る施策のもと「人気校」に志願が集中し、2023年度一般選抜(全日制)でも4千5百人もの受験生が府立高校を不合格になっています。これは、「定員割れ」の3倍近くの人数です。通学区の復活など競争緩和の施策で「希望者全入」こそめざすべきです。

 

 大阪の高校を守る会は、2014年度以降、「定員」を理由にした道理のない高校つぶしに反対し、府教委・府議会への署名にとりくんでいます。今年度も、道理のない高校つぶしの撤回、教育条件の改善を求め、9月30日には決起集会を開催するなど、とりくみに全力をあげる決意です。

 

230828 守る会見解(PDFファイル)