◆最終決定は11月の教育委員会会議
府教委は8月26日の教育委員会会議で、「府立学校条例、再編整備計画に基づく令和6年度実施対象校(案)」を示し、「様々な意見を踏まえ、11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。
その内容は、①大正白稜高校(大阪市大正区)、福泉高校(堺市西区)をそれぞれ令和8年度から募集停止し廃校にする、②春日丘高校・狭山高校の2校を、それぞれ令和8年度から「普通教育を主とする学科」に改編する(春日丘高校は「学際領域に関する学科」、狭山高校は「地域社会に関する学科」)、というものです。
◆府立高校の「定員」はゆとりがあって当然
募集停止・廃校案は、次の点からきわめて不当です。
第一に、子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている府立高校の定員には「ゆとり」があって当然であり、「定員に満たない」ことを理由に廃校にするのは道理がありません。府教委自身が「就学セーフティーネット」として、毎年の入試で、進学予定者数を上回る募集を行っている(必ず「ゆとり」が出るように定員を設定している)こととも矛盾します。学区を撤廃し、公立・私立の高校に「生徒獲得競争」を強いる施策のもと、府の周辺部の学校、高校進学を希望する生徒の「最後の砦」となる学校の定員に「ゆとり」ができるのは当然です。そうした。「地域の学校」を廃校にすることは子どもたちの「学ぶ権利」を奪うものです。
第二に、コロナ禍を経て、改めて学級定員(40人)の引き下げが国民的世論となっているもとで、既存の学校施設を減らすのは、少子化によって生じている教育条件改善のチャンスを自ら放棄することに他なりません。募集停止・廃校ではなく、少人数学級の実現、学校の小規模化など教育条件の改善こそ行うべきです。
第三に、「3年連続して志願者が定員に満たず改善の見込みがない府立高校は再編整備の対象とする」と規定する府立学校条例の考え方は、すべての府立高校に将来にわたって入試で不合格者を出し続けるよう求めるものであり、少子化にもかかわらず、子どもたちに過酷な受験競争を強い続けようとするものです。この間の競争を煽る施策のもと、府立高校普通科の志願倍率は「二極化」し、毎年「人気校」で「定員割れ」をはるかに上回る数の志願者が不合格になっています。過度となっている競争を緩和し、通学区の復活などの施策で「希望者全入」こそめざすべきです。
第四に、大正白稜高校は、2018年に大正高校・泉尾高校が募集停止され、泉尾高校の校地に設置された学校であり、わずか6年での再々編となります。また、同じ大正区の泉尾工業高校は、すでに東淀工業高校・生野工業高校との三校統廃合による廃校方針(2028年度募集停止予定)が決定されています。今回の案が強行されれば、十年間に同じ地域で3つの府立高校が廃校になることとなり、大正区の府立高校はゼロになります。
将来にわたって地域の子どもたちの「学ぶ権利」を奪う廃校案は許せません。
◆「特色化」でなく、すべての府立高校の教育 条件整備を行え
再編整備案は、春日丘高校、狭山高校の「普通科を主とする学科」への改編を打ち出しました。これは、文科省が進める「普通科改革」を具体化するものです。しかし、この間に国や府が進めてきた「特色化」はことごとく破綻しています。求められているのは、「特色化」ではなく、少人数学級や教職員定数増、施設改善など、すべての府立高校できちんとした教育活動を保障できる条件整備です。
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