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府教委が「慰安婦」問題で「補助教材」を作成

2015.10.29

維新の会、松井知事による不当な教育介入
教育の自主性侵す「補助教材」押しつけやめよ

 10月28日府教委は、教育委員会会議を開催し、事務局が作成した「『慰安婦』に関する補助教材」について、報告事項として承認しました。

 これは、昨年8月、朝日新聞がいわゆる「吉田証言」にかかわる記事を取り消したことに関連して、府議会で維新の会の議員が質問し、松井知事が「補助教材を作成する」と答弁したことを受けたものです。

 その内容は、①「慰安婦問題に関する近年の主な動き」、②「吉田清治氏に関する記事の掲載とその取り消しについて」、③「慰安婦問題に対する日本政府の考え」の3項目から成っており、①②については事実経過、③については外務省が作成した文章のホームページからの転載となっています。また、参考資料として、政府が調査・聞き取りに基づいて1993年8月4日に発表した「調査結果」と「河野官房長官談話」、2007年と2014年の安倍首相の国会答弁、今年8月の「戦後70年談話」の5つの文書が、政府等のホームページから転載されています。

 「補助教材」の活用について府教委は、本日付で校長宛の通知を発し、「教職員に周知するとともに、慰安婦問題を授業等(授業や特別活動)で取り扱う場合には、本補助教材を対象生徒全員に配付し、必ず活用願います」とし、「指導方法」について「教材の一部だけをとりあげるのではなく、慰安婦問題に関する動きや日本政府の考え方など、すべての内容について指導を行うこと」としています。また、「活用状況」について、各年度2月末時点で報告することを求めています。

 教育行政が、特定の事柄について「補助教材」を作成し、その使用や指導方法を学校に押しつけることは、学校の教育課程編成権限を侵すものであり、あってはならない行政による教育介入そのものです。一昨年の、実教出版教科書への「補完教材」押しつけに続き、教育介入を強行する維新の会と松井知事の姿勢は極めて不当です。

 また、この背景に、朝日新聞の記事取り消しを口実に「慰安婦」問題の事実そのものを否定しようとする誤った歴史認識があることは重大です。「補助教材」に掲載された「河野官房長官談話」に示されている通り、「慰安婦」問題は、「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」であり、この事実に対して日本政府として「心からお詫びと反省」の意を示し、「歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意」を表明している問題です。

 府高教は、維新の会、松井府政による不当な教育介入に抗議し、「補助教材」押しつけの撤回を求めます。また、学問の自由に基づく教育の自主性を擁護し、学問的真理・真実、事実に基づく豊かな教育実践を呼びかけます。

(2015年10月28日 府高教ニュース速報より)