大阪府・府教委は、2025年4月から夢洲で開催予定の「大阪・関西万博」に、府内すべての小中髙生を招待するなどとし、5月末までの期限で学校に対する意向調査を行っています。
夢洲での万博開催をめぐっては、これまでから地震や津波、台風時の危険性に加え、土壌汚染やメタンガスの発生など問題が指摘されてきましたが、3月28日には、可燃性ガスに工事の火花が引火して建物が破壊される爆発事故が起こりました。ガスの発生場所など詳しい原因は分かっておらず、「どこで爆発があってもおかしくない」状況が続いています。
こうした状況で、意向調査を続け、学校行事として夢洲への生徒引率をすすめることは、生徒の安全確保の観点から大問題です。府高教は、4月18日に大教組、大障教とともに府教委と知事宛に申し入れをおこない、安全性が確認されるまで、生徒招待事業とその意向調査は中止し、事故の情報を学校現場に周知するよう求めました。
申しいれ文は以下の通りです。
万博参加についての意向調査の実施にあたり、
万博工事現場での爆発事故に関して、府・府教委として責任ある対応を求めます。
大阪教職員組合 中央執行委員長 北川 美千代
大阪府立高等学校教職員組合 執行委員長 志摩 毅
大阪府立障害児学校教職員組合 執行委員長 西面 友史
府教委は、2025大阪・関西万博の学校行事による参加について、各学校に対し、意向調査を行っており、5月末までに報告するよう求めています。
一方、万博協会のHPでは「会場建設現場における事故報告」として、「2024年3月28日(木曜日)10:55頃、グリーンワールド(GW)工区の屋外イベント広場横、東側のトイレ1階で、溶接作業中に発生した火花が、配管ピット内に溜まった可燃性ガスに引火したことにより、1階床が破損しました。この事故による、けが人はありません」と掲載されています。万博会場となる夢洲は、もともとゴミや産業廃棄物の処分場であり、かねてから可燃性ガスの発生問題が指摘されており、国会でもその危険性が取り上げられています。万博協会は「会場予定地では、GW工区のみ、一部管理型の廃棄物処分場となっており、可燃性ガスが発生しています。他のエリアでは、建設残土等で埋め立てされており、可燃性ガスの発生はありません」としていますが、夢洲他区の地下鉄工事現場でもメタンガスが見つかり、大規模な対策工事が行われています。万博開催中も同様の事故が起こる恐れがあります。
学校現場や父母・府民から、「本当に子どもを連れて行っても大丈夫?」など心配する声が出ています。子どもたちを招待する以上、府・府教委はこのような声に耳を傾け真摯に対応する責任があります。府・府教委として、今回の事故についてきちんと調査し、安全であることを確認すべきです。それができるまでは、招待事業は見送るべきです。もちろん、意向調査も中止すべきです。
また、万博に行くかどうかの検討にあたっても、不安や心配の声が多数出ています。建設途中で不明なことがあまりに多いこと、情報が圧倒的に少ないことなどがその理由です。府教委として、現場からの疑問や要望にきちっとこたえるべきです。
さらに、「子ども招待」とされながら、交通手段確保や、熱中症対応などの安全対策なども現場丸投げの状態です。府・府教委として、安全・安心に行事が実施できるようサポート策を講じるべきです。
これらを踏まえて、府・府教委に以下のことを求めます。
1.大教組との交渉で確認している通り、学校行事としての万博参加は、各学校が判断するものであることを学校現場に 周知すること。意向調査は「応じない」ことも可能であることを周知するとともに、「応じる」とした場合でも、実施段階で辞めることができることを確認すること。
2.子どもを招待する以上、今回の事故について、学校現場に情報提供すること。府・府教委としてきちんと調査し、安全・安心を確認すること。確認できるまでは、招待事業や意向調査は延期すること。
3.学校行事としての検討・計画・実施に向けて、現場からの問い合わせや要望などについて、府・府教委として、責任を持って対応すること。問い合わせや要望について、府教委の窓口を明らかにすること。
4.府・府教委として、熱中症対応などの安全対策や、行事実施途中に起こる不測の事態に対応する人の配置や現地窓口の設置など、安全・安心に行事が実施できるよう対策をとること。
5.府・府教委として、バスの確保だけでなく、計画通り安心して行事が実施できるよう交通手段の確保をおこなうこと。
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