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大阪市住民投票の結果について(声明)

2020.11.02

住民投票の勝利を確信に、維新政治の退場に全力をあげよう(声明)

 10月12日告示、11月1日投票で行われた大阪市住民投票の結果は、5年前に続いて再び「反対」が多数となり、「大阪市を廃止し4つの特別区を設置する」との案は否決されました。投票率は62.35%(前回は66.83%)、票数は「反対」69万2996票、「賛成」67万5829票(前回は「反対」70万5585票、「賛成」69万4844票)で、今回も約1万7千票の僅差となりました。
 府高教は、大阪市の財源を府が吸い上げてカジノを中心とした大規模開発につぎ込み、住民のくらし・福祉・教育を切り下げる大阪市解体=「都構想」を許さない立場で、明るい民主大阪府政をつくる会・大阪市をよくする会に結集し、宣伝・対話などのとりくみに全力をあげてきました。こうしたとりくみの結果、再度、住民投票の「否決」を勝ち取り、「都構想」の強行を許さなかったことはきわめて重要な到達です。この間の、組合員のみなさんのご奮闘、全国の仲間のみなさんの暖かいご支援に、心から敬意を表します。

 今回の結果は、以下の点で重要な意義を持つものです。
 第1は、大阪市廃止・特別区設置(=「都構想」)が、政令指定都市大阪市をなくし、住民サービスを切り下げ、カジノを中心とした大規模開発をねらうものであることが府民的に明らかになり、それに対して市民の「ノー」の意志が示されたことです。維新の会は、大阪市廃止の重大な問題点を隠して「1兆円の財政効果がある」「住民サービスが向上する」など根拠のない主張を繰り返しました。また、行政を私物化して「市役所ぐるみ」の運動を展開、事実に基づく私たちの批判を「デマ」呼ばわりするなど、卑劣な態度に終始しました。これに対して、明るい会・よくする会を中心に、客観的データと事実に基づいて問題点を指摘、道理に立って主張を行った私たちのとりくみが、市民の理解を広げたことはきわめて重要です。
 第2に、投票結果は「否決」となりましたが、差はきわめて小さく、市民世論は二分されています。しかし、「賛成」に投票した人の多くは、「現状を変えたい」「経済、くらしをよくしたい」との思いから大阪市廃止を選択しており、その背景にあるのは、現下の厳しい社会・経済状況と、根深い政治不信です。変えなければならないのは制度や仕組みではなく、政治の中身です。コロナ禍のいま、住民施策切り捨て、市場原理万能の新自由主義の転換が必要であるとの認識が、大きく広がっています。そうした思いに応え、広範な府民・市民と共同し、よりよい社会を実現する運動を発展させることが求められています。
 第3は、住民投票の論戦を通じて、改めて、市民のくらしと営業を破壊し、教育・福祉・医療の現場を困難に陥れてきた維新政治の本質が明らかになったことです。投票結果を受けての会見で松井市長は「政治家としてけじめをつけないといけない」と述べ、任期後の引退を明言しました。今回の否決を、破綻が明らかとなっている維新政治の「終わりの始まり」とすることが求められています。
 第4に、投票結果は、維新の会を最大の補完勢力とする菅政権にも痛打をあたえるものです。破綻した安倍政権の「継承」を宣言し、新自由主義的政策を掲げて強権的政治をすすめる菅政権は、国民の願いとは乖離しています。その菅政権を憲法改悪などで後押ししているのが維新の会です。一年以内に行われる衆議院総選挙で菅政権を退場させ、立憲主義、民主主義、平和主義を回復するために全力をあげることが求められています。

 以上をふまえ、府高教は、今回の住民投票での再度の勝利を確信に、維新政治、菅政権から学校と教育、教職員を守るたたかいに、引き続き、全力をあげます。

2020年11月2日 大阪府立高等学校教職員組合