道理のない高校つぶしをやめ、教育条件の改善を
―令和6年度実施対象校案に対する見解―
2024年8月26日 大阪の高校を守る会
大阪府教育委員会は8月26日の教育委員会会議で、「府立学校条例、再編整備計画に基づく令和6年度実施対象校(案)」を示し「様々な意見を踏まえ、11月の教育委員会会議で最終決定する」としました。その内容は、府立大正白稜高校(大阪市大正区)が6年連続、府立福泉高校(堺市西区)が4年連続で「定員に満たない」などとして、令和8年度から募集停止し廃校にするというものです。これは、次の点からきわめて不当です。
第一に、子どもたちの「学ぶ権利」を保障するために設置されている府立高校の定員は「ゆとり」があって当然であり、「定員に満たない」ことを理由に廃校にするのは道理がありません。
府教委は、毎年の募集学級数決定に際して、「就学セーフティーネット」として、公立・私立あわせて進学予定者数を上回るよう調整しており、今年度入試では、進学予定者数を4,792人上回る数で募集が行われました。「定員に満たない」学校が出るのは制度上の必然であり、学校の取り組みとは無関係です。しかも、今年度入試では、府内公立中学校卒業者数が331人減少するなかで、府立高校募集数は逆に316人増やされており、「定員に満たない」府立高校の数が増えました。学区を撤廃し、公立・私立の高校に「生徒獲得競争」を強いる施策のもとでは、府の周辺部の学校や、高校進学を希望する生徒の「最後の砦」となる学校が、「定員に満たない」状況となるのは必然です。こうした「地域の学校」を廃校にすれば、子どもたちの「学ぶ権利」が奪われます。
第二に、学級定員(40人)の引き下げが国民的世論となっているもとで、既存の学校施設を減らすのは、少子化によって生じている教育条件改善のチャンスを自ら放棄することに他なりません。募集停止・廃校ではなく、少人数学級の実現、学校の小規模化など教育条件の改善こそ行うべきです。
第三に、「3年連続定員に満たなければ再編整備」と規定する府立学校条例の考え方は、すべての府立高校が将来にわたって入試で不合格者を出し続けることを求め、少子化にもかかわらず子どもたちに過酷な受験競争を強い続けるものです。競争を煽る施策のもと、府立高校普通科の志願倍率は「二極化」し、「定員割れ」をはるかに上回る数の受験生が府立高校を不合格になっています(今年度入試では定員割れ1,867人に対して不合格が3,536人)。通学区復活など競争を緩和する施策で、「希望者全入」こそめざすべきです。
第四に、大正白稜高校は、2018年に大正高校・泉尾高校を統廃合し泉尾高校の校地に設置した学校であり、わずか6年での再々編です。同じ大正区にある泉尾工業高校は、すでに東淀工業高校・生野工業高校との三校統廃合による廃校方針(2028年度募集停止予定)が決定されており、今回の案が強行されれば、大正区では10年間に3つの府立高校が廃校となり、区内に府立高校がなくなることになります
大阪の高校を守る会は、2014年度以降、「定員」を理由にした道理のない高校つぶしに反対し、府教委・府議会への署名にとりくんできました。今年度も、道理のない高校つぶしの撤回、府立学校条例の抜本見直し、すべての府立高校の教育条件改善を求め、9月21日には決起集会も配置し、とりくみに全力をあげる決意です。
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