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「府立高校改革グランドデザイン」への見解

2025.03.31

「府立高校改革グランドデザイン」についての見解

                  2025年3月31日 大阪府立高等学校教職員組合

 府教委は3月28日の教育委員会会議で、「府立高校改革グランドデザイン」と令和10年度以降の「大阪府立高等学校入学者選抜制度改善方針」を決定しました。これは、昨年8月の大阪府学校教育審議会(=学教審)答申を受けて、「『学校改革』『入試改革』『広報改革』の3つの柱を軸に府立高校に求められる方向性とそれを踏まえたより望ましい入学者選抜制度等についてとりまとめた」ものです。今後、2025年度中に各校の具体的な方向性を示す「府立高校改革アクションプラン」と、各校の「学校特色枠」の選抜内容を公表するとしています。
 グランドデザインは、府立高校の志願倍率が低下していることを課題と捉え、「選ばれる学校」となるため、各校が「さらなる魅力化・特色化」をすすめるよう求めています。また、入試制度を変え、全府立高校に「学校特色枠」(総定員の50%以下。各校独自の選抜資料に基づいて合否判定)を設定し、第一手順として学校特色枠で合格者を決定、第二手順として学力検査・調査書で残りの合格者を決定するとしています。また、「外部からの印象を良くする」ため、各校が「マーケティング」に基づいて「ブランディング」を行い、「学校イメージや校内活動のブランド力」を上げ「自校への志願が高まるよう」効果的な「プロモーション」を行うなどとしています。
 これらの問題点は以下の通りです。
 第一に、公立高校の役割は、希望するすべての子どもたちに学ぶ場を保障することであり、本来、志願倍率の低下は悪いことではありません。学校の教育活動の評価は、志願者の多さではなく、入学した生徒がどれだけ成長・発達したかで測られるべきです。志願倍率とその学校が役割を果たしているかどうかとは関係ありません。少子化によって府立高校の収容力にゆとりが出ているのであれば、受験競争を緩和して倍率を下げ、「高校希望者全入」こそ目指すべきです。
 グランドデザインは、すべての府立高校に「選ばれる学校」になるよう求めていますが、公立・私立をあわせた募集定員が進学予定者数を上回るように設定され、私立高校が先に入試を行っているもとでは、すべての府立高校の志願倍率が1倍を超えるなどはあり得ないことです。「魅力化・特色化」など耳障りの良い言葉を使いながら、各校に過酷な生徒獲得競争を強い、学校の序列化を進め、府立学校条例の「3年連続」規定を使って「定員割れ」校をつぶしていくのがねらいです。
 また、グランドデザイン自身が記述しているように、府立高校普通科の倍率は一貫して1倍を超えており、生徒・保護者の「ニーズ」がそこにあるのは明らかです。普通科高校に求められているのは、「普通」の教育をきちんと保障することであり、他校と違う「強み」や「特色」などは本来必要ありません。
 グランドデザインは、公立高校の役割をはき違え、「定員割れ」を理由にした高校つぶしで地域の子どもたちの学ぶ権利を奪い、浅薄な「魅力化・特色化」で府立高校の教育を損なうものです。
 第二に、「学校特色枠」による入学者選抜は、現行のボーダーゾーンでの「自己申告書」に基づく合格者決定と同じく、入試の公正性、透明性を損なうものであり、導入すべきではありません。「学校特色枠」の選抜資料について、①「各校において『面接』『プレゼンテーション』『作文』『実技検査』など学校独自の検査を実施」のほか、②「学力検査の特定の教科のみを使用したり傾斜配点を行うなど柔軟な方法を採用する」としていますが、①は客観性・公正性の担保が難しく、②は普通科高校の入試にはふさわしくありません。学校ごとに選抜資料が変われば、受験生・保護者・中学校が大混乱するのは明らかです。また、客観性の担保が難しい独自検査は、担当する教職員の負担を著しく増大させます。
 第三に、マーケティング、ブランディング、プレゼンテーションなどの広報活動は、教職員の本来業務とは関係ない仕事であり、学校と教職員の負担を増大させ、すでに限界を超えている長時間過密労働、人員不足など現場の困難を、悪化させるのは明らかです。
 そもそも、府立高校の「魅力化」を言うのであれば、教職員定数の抜本改善、少人数学級の実施で、一人一人の生徒に丁寧に接することができ不登校を生まない学校、不登校になっても復帰できる学校にする、「雨漏りが当たり前」の老朽校舎を建て替え、全室に空調を設置し、快適な学習環境を整備するなど、教育条件・施設設備の改善を真っ先に行うべきです。グランドデザインは、教職員の増員や少人数学級など教育条件改善にはひと言も触れておらず、学校の建て替えについては「築後70年以上」が目標になっています。教育行政の本来の役割を果たさず、学校に民間企業ばりの「広報」を押し付けるなどは言語道断です。